報復を最愛の君と

「大切な人なのに、隠しごとされて。嫌だったの。私、カナタが何をしてるのか知りたい…!」


「そっか」


どうしてこんな感情になるのだろうか。


懐かしい、優しい声。


「君の名前は?」


「私…は、ヒメア・イコロです」


本当は名前を教えない方がいいって、わかってる。


私がこの国の姫だと気がつかれない方がいいんだ。


でもこの人には教えたい、なぜだかそう思ってしまった。


「ヒメア…。やっぱり君が、そうなんだね」


ポツリとレタラがつぶやいた声は、私には届かなかった。


「君に伝えたい…いや、伝えなくてはいけないことがあるんだ。明日の昼休みに学園の裏庭で待ってる。来てくれる?」


私はその言葉に驚きながら、こくこくとうなずいた。


「じゃあ、俺は帰るよ。また明日」


「…はい」


ゆっくりと返事をした私を見て、またレタラはほほ笑んだ。


くるりと背を向けて、レタラは道を進んでいった。


その背中に向かって私は叫ぶ。


「また明日!」