この世界には、普通とは姿形の違う「能力者」が存在する。
この世界は、能力であふれている。
神とあがめられた聖女、人間達から憧れる能力者、平凡な人間。
そんな人々が存在するのが当たり前だけれど、その普通を受け入れない人間主義国が存在する。
人間主義のイコロ国とカント国では、能力者は生まれてすぐに処刑。
聖女は10歳になると王宮で引き取られる。
能力者が何をしたというの?
これだから人間は嫌い。
「あの“呪いの子”さっさといなくなってくんないかな〜」
「うるさいわね。文句があるなら、面と向かって言いなさい人間」
人間とは絶対に慣れ合えない。
だって私達能力者は、呪いなんだから。
「姫様、会いにきちゃいました」
「カナタ!」
でも、彼だけは違う。
いつも私のことも対等に考えてくれる、唯一の人間。
私はカナタが大好きだった。
でも、ある日私が真実を知ってしまったから。
「そろそろ次の集落で実験をする。研究を進めるためにな。姫様の父親も記憶を消してくれたから、助かったよ。まあ、用済みの父親は殺したけどな」
実験?研究?
私の父親は国王であるタント・イコロだ。
私の父親は…本当の父は誰なの?
薄れた記憶は、真実と共に徐々に蘇り。
「カナタは…最初から私を利用していたの…?父さんを殺したのもカナタだったの?そんなの…許せない!!」
私はレタラ達に報復を誓う。
その時現れた彼と。
「じゃあさ、俺と手を組まない?」
「いいわよ。これからよろしくね、ラク」
これは、最愛の彼と共に報復をするお話。
そして、私の最初で最後の切ない恋の物語り。