苦笑いをされてしまった。
「あっ、そうだ!今日、転校生が来るんだって」
「え?転校生…?」
「そうそう!しかもイケメンらしいよ」
イケメン、かぁ…。
「まあ、綾はあんまり興味ないよね、イケメン」
「うん…」
イケメンとか…正直、あまり気にならない…。
「でも、学級委員として、イケメンだ〜って騒ぐみんなを静めるくらいはしなきゃ!」
「菜乃、真面目〜」
私は、どうでもいいな〜。
菜乃は学級委員で、とっても優等生で、真面目。なんだけど…。
「あっ。こないだの期末テストの結果だよ!」
「うぇっ。嘘でしょ、最悪っ」
菜乃が真っ青になって見てもないのに絶望の表情をした。
「いいよねー綾は。そんだけサボりまくってんのに、どーでもいいって言ってるのに主席でー…さすが成績優秀者。あ、藤田くんもだから幼馴染同士か。いいコンビだねー」
「ちょっ…楓と一緒にしないでよ、今なんか複雑なのっ。あとサボってるって酷いね⁉︎」
「本当じゃん。いつも『宿題、やばいっ、忘れた!』とか言ってるのに先生に釘刺されると持ってくんじゃん。それにどんな量でも1日で。冬休み明けの一昨日もさー」
…ぐっ。確かにサボっているかもしれない。
だって、ノートを開くと問題がずらり。規則が緩いのはいいけど、宿題の量が多いのが、ちょっと悲しい。いや、私は菜乃の言う通り期限中にやっていないのだけれど。
「えーっと、私は…」
上から順位を見てみると、一番上だった。
「きゃーっ、すごい綾!やっぱり主席!えっていうか、ほぼ満点…?すごい!綾、陰で努力する派かな?」
「いや、私何もしてない」
「え、やっぱそうか。って私、250人中200位なんだけど!やばい!死ぬっ。絶対テスト直ししなきゃ!ねっ、綾もしよ?」
「えーやだーめんどくさー」
そうとだけ言って教室へ入る。
「ま、待ってっ。…まあ、そう言うと思ったけどさー」
あーあとため息を吐いて教室へ続いてくる菜乃は、私の右隣に鞄を丁寧に置く。隣といっても、通路があってちょっと悲しいけど。
私の左隣が私の机とくっついているけど、そこは空席。
「綾。転校生の情報ゲット!2人来て、1人はこのクラスで、もう1人は隣のクラスだって!」
「へえぇ」
さっきはああ言ったけど、冷静になると…空いている席は私の左のみだから、隣の席の人が誰か普通に気になってきた。
あと三ヶ月、平穏に過ごすため、あんまり個性的でやばいキャラは来ないでほしい!
「今日は転校生を紹介するぞぉお」
ガラガラとテキトーに挨拶をしてきた、とても面白い先生。先生が言ったことにずっと笑っていて、菜乃に「単純…笑」って逆に笑われちゃった。私、笑わせるために笑っているわけではないよ…‼︎
まあ、転校生には正直あまり関わりたくない。少し隣の席の者として気になるだけで、興味は…
「霧島梨生です、みんなよろしくね!」
か、
可愛い…だとっ…?
声が…可愛いって…?
名前まで綺麗とは…?
目が大きいっ…。
はっ、キャラ崩壊しかけた。
男子であまりいないブレザーを着ずにベストを着ている転校生の…霧島、くん。
可愛すぎるって…‼︎
くりくりの大きな瞳。
小さな顔。
ゆるーく、可愛く着こなした制服。
もふもふの髪は、触りたくなってしまう。
多分、可愛くお願いされたら私、断れないっ…。
「じゃあ、霧島の席は…彩湖の隣な」
くりくりの瞳が私を向く。
ひゃあああっ…。
「はっ、はいっ」
とろけそうになりながら返事をしたけど、可愛いっ、やばっ…。
「さいこ?西湖?日本一おっきい湖?」
こてんと首を傾げた霧島くんが、か、かわっ…そして、間違ってるのも可愛いっ…。
「ち、違う、よ。彩るに、湖で、彩湖っ…」
「へえ、そうなんだ。可愛い名前だね」
あ、可愛いっ…?
「あ、え、えっと…可愛くも…なっ、ないし…霧島くんの方が可愛いよ…」
隣で菜乃がめっちゃ頷いている。
「うんうん。綾、キャラ崩壊してたもん」
しかもめっちゃ目をハートにしながら。
「あや?」
「う、うん。私の名前…」
「そっかー」
にこっと笑って、てけてけ霧島くんが隣にやってきて、すとんと座る。
本当に、母性本能をくすぐられるって、こう言うことを言うのかな…うううっ、可愛い…。



