今度は、私が君を守る。

「…」

確かに私はスカートを短くしようと全く思わないし、可愛い淡いピンクとパステルカラーの薄い紫のチェックのスカートは常時膝下まである。


学園は規則が厳しい方ではないので、マフラーは自由だ。

私はパステルカラーが大好きなので、制服に合わせてパステルカラーっぽいオレンジ色のマフラーで、テンションを上げようと頑張ってみている。


楓は自分に似合う色や模様が良くわかっていて、青と白のチェックのマフラーがよく似合う。


近道は細い道だったけれど、その細い道を抜けて、開けてくる。


あとちょっと、だっ…。

「だ、大丈夫?急にめっちゃ遅くなったけど…」

「いや、今思い出して…」


私は真っ青になりながら鞄を掴む。


「きょ、今日体育あったんだ——‼︎」


「はっ?体育?」

一瞬楓が眉をぴくりと動かす。これは楓の苛立っている時の癖だ。

「たっ、体育!あの地獄の!」

「ああ…」

ちょっと怪訝そうにしながらも納得した様子の楓。そうそう、楓ならわかってくれるよね!


私は運動神経がとにかく、絶望的。

「楓はすごいよね!50m走5秒なんて」

「…」


少し楓がにこっと笑った気がした。

「…やっぱり、綾は俺のことを“完璧”とかは言わないんだね」



ちょっと嬉しそうに、楓が私の頭をぽんっと叩く。

こないだまで私が見下ろしていたのに、今は見上げなきゃいけない。それがちょっとムカッてする。


「ふんっ、成長期だからって油断してないでよね!すぐ私が抜いてあげる!」

「えっ、は…?ちょっと待ってよ、綾っ…」

私がキレた理由をもちろん知らない楓は慌てていたけど、私はずんずん歩いて行って靴箱へと向かった。


靴箱は学年ごとに場所が違うから、私より一個年下な楓はこっちへ来れないはず!


「おっはよーっ、綾っ。誕生日おめでと!」

「あっ。菜乃(なの)!ありがと」

靴箱でばったり会った私の友達、椎木(しいき)菜乃は、中学生からの二年くらいの仲。

「あれ?藤田くんは?あのイケメンは?いつも、綾が靴を履き替えんの見てから一年の靴箱へ走ってって、階段のところでばったり会うじゃない。なで藤田くん、履き替えんの見てないの?」


「あっ、そうだ、楓!早くいこ、菜乃っ」

「え、ええっ?…あー。あー、なるほどね。また勝手に喧嘩したのね」

「ちょっ⁉︎勝手にって何⁉︎」

菜乃が聞き捨てならないことを言っている!

「だってさ、綾、向こうの言い分も聞かずに勝手に怒るんだもん。なくせに次会う時には普通だし。藤田くん級のイケメンを振り回すのもやめたらー?私、見てるだけで藤田くん可哀想になっちゃう」

「う、ううっ…だって今日は、楓が勝手に牛乳飲んで背伸ばしてるからいけないんだよ!」

「えっ。何今日はその変な理由」

「変じゃないよ!私前はめっちゃ余裕で勝ってたのに」

「年下と勝負しても虚しいだけだよ、綾」