「……楽しそうだな」
駅へと続く坂道の途中
自転車を押しながら下っていた悠の足が止まった
少し先のコンビニ
店先のベンチで、菜亜が3人の女子と談笑してる姿が見えた
希衣、莉愛、一華
その名前はクラスでもよく聞く
女子の中では目立つグループだった
そんな中にいる彼女は
朝や教室で見たときよりも
ずっと“普通の女の子”に見えた
笑って
頷いて
何かを言いかけてまた笑って
「……あんなふうに、笑うんだな」
呟いた声は
自分でも聞き取れないほど小さかった
胸の奥が、また騒ぐ
なんで
その笑顔を遠くから見てるだけなのに
こんなにも気になってるんだろう
名前を知って
声を聞いて
目を見て、笑ったこともあるのに
「……まだ、なにも知らねぇんだよな」
風がふわりと通り過ぎて
菜亜のポニーテールが少しだけ揺れた
悠はもう一度、自転車のペダルに足を乗せて
そっと視線を逸らし、坂を下り始めた
後ろから誰かの笑い声が響いたけど
その意味までは、まだわからなかった
駅へと続く坂道の途中
自転車を押しながら下っていた悠の足が止まった
少し先のコンビニ
店先のベンチで、菜亜が3人の女子と談笑してる姿が見えた
希衣、莉愛、一華
その名前はクラスでもよく聞く
女子の中では目立つグループだった
そんな中にいる彼女は
朝や教室で見たときよりも
ずっと“普通の女の子”に見えた
笑って
頷いて
何かを言いかけてまた笑って
「……あんなふうに、笑うんだな」
呟いた声は
自分でも聞き取れないほど小さかった
胸の奥が、また騒ぐ
なんで
その笑顔を遠くから見てるだけなのに
こんなにも気になってるんだろう
名前を知って
声を聞いて
目を見て、笑ったこともあるのに
「……まだ、なにも知らねぇんだよな」
風がふわりと通り過ぎて
菜亜のポニーテールが少しだけ揺れた
悠はもう一度、自転車のペダルに足を乗せて
そっと視線を逸らし、坂を下り始めた
後ろから誰かの笑い声が響いたけど
その意味までは、まだわからなかった



