最後に名前を呼べたなら ―君の記憶と、永遠に―


「……はぁ」

 

スマホの画面を伏せたまま
校舎裏のベンチで、静かに息を吐いた

 

今日が、誕生日

クラスの友達には
「おめでとう」って何度も言ってもらったし
小さなプレゼントも、いくつかもらった

 

でも
本当に待ってたのは
“ひとりだけ”だった

 



 

 

何か言ってくれるんじゃないか
どこかでサプライズみたいに声をかけてくるんじゃないか

そんな期待ばっかり
頭の中で何回もリピートしてるのに

放課後になっても
彼の姿は見えなかった

 

 

「……私、なにやってんだろ」

ベンチの上に膝を抱えて
小さくつぶやいた声は、風に消えた

 

ほんとは
期待なんてしなきゃよかったのに

“あの子”といるのを見た時
ちゃんと終わらせておけばよかったのに

 

それでも

「悠が……来てくれるって、信じたいの」

 

ぽつりと口からこぼれた本音は
予想よりずっと震えてて

自分でびっくりした

 

 

スマホの画面には通知がない
時間だけが、淡々と進んでく

「……もう少しだけ」

そう言って、目を閉じた

 

信じたい
でも、怖い

それでも
“待つ”ってことを選んだ自分が
少しだけ、誇らしくて

ちょっとだけ、泣きそうだった