「……間に合うよな、これ」
学校が終わったあと
自転車で商店街を抜けながら
悠は小さくつぶやいた
鞄の中には、小さな箱
その中には、ずっと探していた
菜亜の名前が刻まれたネックレスチャーム
菜亜の誕生日が今日だって
もちろん忘れてなかった
むしろ
誰よりも早く覚えてた
最初にぶつかった朝
名前を知った瞬間
「菜の花の『菜』に、亜細亜の『亜』」
あの時の声が
ずっと耳に残ってた
だから
名前を入れたものを、何か渡したかった
“ちゃんと、お前のこと考えてる”って
言葉にしなくても、伝わるように
でも
この一週間
まともに話もできてなかった
原因はわかってる
菜亜はたぶん、何かを“見た”
信じてないわけじゃない
でも、信じきれないくらいに不安にさせたのは
――全部、自分のせいだった
「……あいつ、今日来るよな」
風が強くて
髪が少し乱れた
心臓が、落ち着かない
“何かを失いそうな気がする”
それが怖くて
握りしめたハンドルに、力が入る
「……間に合ってくれ」
信号が青に変わると同時に
悠は一気にペダルを踏み込んだ
伝えるんだ、今日
絶対に
そう決めたから
もう迷わなかった
学校が終わったあと
自転車で商店街を抜けながら
悠は小さくつぶやいた
鞄の中には、小さな箱
その中には、ずっと探していた
菜亜の名前が刻まれたネックレスチャーム
菜亜の誕生日が今日だって
もちろん忘れてなかった
むしろ
誰よりも早く覚えてた
最初にぶつかった朝
名前を知った瞬間
「菜の花の『菜』に、亜細亜の『亜』」
あの時の声が
ずっと耳に残ってた
だから
名前を入れたものを、何か渡したかった
“ちゃんと、お前のこと考えてる”って
言葉にしなくても、伝わるように
でも
この一週間
まともに話もできてなかった
原因はわかってる
菜亜はたぶん、何かを“見た”
信じてないわけじゃない
でも、信じきれないくらいに不安にさせたのは
――全部、自分のせいだった
「……あいつ、今日来るよな」
風が強くて
髪が少し乱れた
心臓が、落ち着かない
“何かを失いそうな気がする”
それが怖くて
握りしめたハンドルに、力が入る
「……間に合ってくれ」
信号が青に変わると同時に
悠は一気にペダルを踏み込んだ
伝えるんだ、今日
絶対に
そう決めたから
もう迷わなかった



