「へー、白神さんを好きな女が。
そりゃいるだろうね、いっぱい」
昼休み。
リラクゼーションルームで一緒になった侑矢がそんなことを言う。
赤い丸いテーブルを挟んで、立ったまま珈琲を飲む。
座り仕事が多いので、立っている方が楽だ。
「村上さんもみたいだし」
「あー、そうだったね。
私より、白神さんのこと詳しそうだったし」
そうか? という侑矢に、
「だって、白神さんの名字知ってたし」
と言って、
「俺でも知ってるよ、今は」
と言われる。
侑矢が窓に雨の筋がいくつか流れたのに気づいて言う。
しとしとと降り出したようだ。



