石造りで隠れ家っぽい雰囲気の素敵なお店の駐車場に車はとまった。
慶紀が降りたとき、ちょっと離れた位置にとまっていた赤い大きな車の扉が開いて、派手な女が降りてきた。
「白神さん」
おお、綺麗な人だ、と思いながら、綾都も降りる。
すると、こちらに来かけた女がハッとして足を止めた。
「白神さん、この方は?」
「ああ……、
今度結婚する藤宮さんです」
「そうなんですか。
おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「じゃあ、今日は、結婚される同僚の方のお祝いに来られたんですか?」
「結婚される同僚の方は誰ですか?」
なんだろう……。
この二人、会話が噛み合っていない気がするんだが。
彼女が慶紀に訊く。



