寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

 最初に行ったコンビニは、コンビニなのに、今、まさに閉店しようとしていた。

 元酒屋のコンビニだ。

 朝は早いが、遅い時間はやっていない。

 ちょうど店主の野田が自動ドアから出てくるところだった。

 『お弁当のごはん、炊き立てです!』ののぼりを片付けようとしているようだ。

「野田さんっ、なんかすごいイケメンの人、来てませんでしたっ?」

「えっ?
 すごいイケメン?

 うちの息子なら、家にいるよー」
と野田は笑う。

「のりちゃん、イケメンだけど、そうじゃなくてー」

「ごめん、ごめん。
 閉店前に男の人、誰も来てないよ」

「ありがとうございますっ」

 綾都は国道沿いの大きなコンビニに向かってダッシュした。

 余計な時間とっちゃったな。
 連絡入れとこうかな。

 スマホを手に走っていた綾都は気がついた。

 向こう、私の番号聞いてきたけど。
 私、白神さんの番号知らないっ!