寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

 


 二次会に行くとか、行かないとか。
 もうバス出る、タクシーも来る、着替えないと、とか。

 みんな、バタバタしはじめていた。

 女性陣は、佐野を二次会に引っ張り出そうと、てんやわんやだった。

 そんな中、慶紀が大きな窓から夕暮れの海を見ながら言う。
 
「結婚式って、打ち合わせも大変だし、ちょっとめんどくさいこともあるけど」

 めんどくさいんだ……。
 まあ、男の人にとってはそうかな?

「そんなことのひとつひとつが、いつか懐かしい思い出になるんだろうな」

 ……そうかもな、と綾都も思う。

 みんなでドレスを何度も見に行ったこと。

 招待客の配置で頭を悩ませたり。

 隠し芸にお前も出ろと言われて、手品を覚えさせられたこと。

 佐野さんに、
「出し物多すぎて、時間内に収まりません」
と言われたこと。

 何度も通ったここにも、もう、来ないのかあ。

 ちょっぴり感傷的な気分に浸りながら、綾都はイグレシアの中を見回した。

 佐野と担当スタッフの女性たちと目が合った。

「こんな場所ですので。
 またのご利用を、とは言えませんが」
と苦笑いしたあとで、佐野が言う。

「いつまでもお幸せに――」

「ありがとうございます」
と二人で同時に頭を下げた。