そのあと、部屋でゴロゴロしていると、下から母親が声をかけてきた。
「綾都ー。
白神さんから電話ー」
えっ? と思いながらも、雑誌を手に寝転がったまま固まっていた。
だが、
「白神さんから電話ー」
と母は無情にも繰り返す。
仕方がないので階段を下りた。
「何故、電話が……」
「結婚相手だからでしょ」
という、当たり前の答えとともに、はい、と子機を渡される。
「も、もしもし……」
と怯えながら出ると、慶紀はいきなり、
「携帯の番号を教えろ」
と言ってきた。
「えっ? 何故ですか?」
とまた言って、慶紀と母に同時に、
「結婚相手だからだろ」
と言われてしまう。



