「任せといてくださいって言っちゃったんだよ。
 今更、誰も用意できませんでしたなんて言えないからっ。

 お世話になってる人なんだよ。

 お前、どうせ、仕事ばっかしてて、彼女もいないんだろ。
 ちょっと見合い行ってくれよ。

 適当に話合わせて、美味いもの食うだけでいいんだから」

 従兄弟の(かい)にそう言われ、慶紀(よしき)は見合いに行った。

 ちょうどこの頃、忙しかったので、それ以上、しつこく言われても面倒臭いな、と思ったからだ。

 まあ、とりあえず、行けばいいだけみたいだから。

 そう、行けばいいだけ。

 ぼんやりした頭で慶紀は思う。