寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

 慶紀は車を止める。

 黒猫は、そのまま行ってしまったが、綾都は猫に向かい、ぺこりとお辞儀をした。

 人間だったら、そうするので、なんとなく――。

 だが、やったあとで、変なやつだと思われたかな、と思い、綾都は笑って慶紀に言った。

「あ、今の猫でしたね」

 まあ、猫にしてもいいのだが。

 猫、まったく見てなかったしな、と思ったとき、唐突に慶紀が言った。

「結婚したい」

「え? 猫と?」
と思わず訊き返したが、慶紀は、こちらを見て言う。

「お前と。
 今、そう思った」

 ――今ですかっ?