「これが船頭さんに殴りかかられている上人様の像です」
山間部の道沿いにあるその像を綾都は手で示してみた。
わざわざ降りるほどでもないので、車は広い田舎道の脇にとめている。
「待て」
と慶紀に言われた。
「後ろにいる船頭さんは、舟を漕いでいるだけなのでは?」
「いやー、角度に寄っては、背後から舟を漕ぐ櫓で殴りかかっているように見えるんですよ~。
私、最初に見たとき、なんて大胆な像だと思って、ビックリしましたもん」
「……たぶん、この像を見て、そんなビックリの仕方をしたのはお前だけだ」
これを殴りかかっていると見るお前の精神状態の方が気になる、と慶紀に言われてしまう。



