「南極にいらっしゃるんですね、お義父様。
愛さんから逃げているのでない限り、愛ですね」
愛が帰る挨拶に回っている間、綾都がそんなことを言い出した。
何故、逃げるという発想が……。
まあ、そんな感じの人だが、と慶紀は思う。
父が弱いのではなく、母が強すぎるのだ。
壁際に立って、愛を待ちながら、慶紀は綾都に訊いてみた。
「お前なら、お前の家の地下になにがあると思う?」
「うちの地下にですか?
なにもありませんよ」
……そうだな。
住んでる本人に訊いたら、妄想じゃなくて真実が返ってくるだけだな。
そう思ったが、綾都は、ハッとした顔で言う。
「あ、ありましたっ」
「えっ?」



