「あー、日枝のじいさんに捕まってるぞ、綾都ちゃん」
離れた場所から見ながら櫂が言う。
「あの人、話、長いよな……」
と慶紀は心配そうにベンチの綾都を見た。
「大物だから、話、遮りづらいし。
あーでも、綾都ちゃんは大物だって知らないか。
綾都ちゃん、あんまりこういうところ、顔出してなかったみたいだから。
お父さんが普通に暮らしたい人みたいでさ」
花実さんから聞いた、と言う。
「そういえば、自宅も普通の家より、ちょっと大きいくらいの家だったな。
造りはモダンだったが」
「でもさ、なんだかんだで藤宮家だから、一見、普通の家に見せかけて、地下になにかすごい施設とかあったりするかもしれないよね」
なんかすごい施設ってなんだ……。



