寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

「そこに、派遣の福井さんが姪っ子ちゃんに移されたおたふくになって。
 あれ、大人になってやると大変だよね。

 それでずっと休んでて。
 うちの部署、急に二人もいなくなって、てんてこまいになってたじゃん。
 それで」

 侑矢はまだ続きの言葉があると思っていたらしい。

 ちょっと黙ってこちらを見ていたが、やがて、
「なんで!?」
と訊き返してくる。

「ああ、ごめん。
 説明が足りなかったか」

「一個も足りてないけどっ!?」

「いや、それで睡眠不足で判断能力が欠如していたというか」

 すべてがぼんやりとただ面倒臭く、眠くて。
 今でもよく思い出せない。

 実は、あの太鼓橋ごと、なにもかもが夢の出来事だったのでは……?

 綾都は現実逃避しようとした。

 だが、向こうから、慶紀がやってくる。

 ……夢の出来事のはずなのに。

 そのままヤンキー同士の接触のように肩がぶつかった。