寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

「慶紀は下の名前でしたよね?」

「え?
 ああ、白神(しらがみ)だが」

「白神だそうです」
とおばさまに言う。

「白神綾都。
 いいじゃない」

「いや、待ちたまえ。
 君、何故、慶紀くんの名字を知らないんだね」

「……身上書もらってないんで」

 まあ、最近の見合いはそんなものなのかな、と種崎部長は小首をかしげている。

「慶紀くんとうちの息子、大学が一緒だったんだが。

 そういえば、うちの息子の見合いのときの写真もスナップ写真とかだったなあ。

 でも、名前くらいは普通、聞くだろう?
 なんて紹介されたんだ?」

「えーと、確か。
 なんとかさんの従兄弟のなんとかさんだと」

「むしろ、『従兄弟』のとこ、よく覚えてたな」
とさっきから後ろで渋い顔をしている侑矢がそう呟いていた。