きみに光と愛を捧げる

「……ごめん。きみとは、付き合えない」

そう告げると、目の前の女の子は目をいっそう潤ませた。

……何が、「ごめん」だ。

そんなこと、心の底ではちっとも思っていないくせして。
本当は、告白なんて断る資格も受ける資格もない。
だって、俺の言葉には心が伴っていないから。

「……うん、そ、っか……こちらこそごめんね、紺野くん」

少し詰まりながらも涙を堪える彼女。

……俺の前では、泣かまいとしているのか。

申し訳ないな、とは思う。

けれど、たった今振ったというのにそんなことは言えず、ただ黙るしかなかった。

ここで何を言っても無駄だろう。

流石にずっと黙っているのは悪いので、それっぽいことを言ってみせる。

「気持ちは、嬉しい。でも、俺にはその気持ちを返すことができないんだ。こんな半端な気持ちで付き合ったら、きっと傷つける」

気持ちを返せないのは事実にしても、気持ちは嬉しいなんてのは真っ赤な嘘だ。

優しい嘘ならついてもいいとかなんとか聞いたことがあるけど、俺の嘘は場を切り抜けるための嘘でしかない。

格好つけて言うとしたら、〝愛のないことば〟。

そんなことばかり繰り返す自分が、嫌になる。

〝好き〟の気持ちを知りたい。

世界中のたった一人でいいから、ほんものの愛を注ぎたい。

誰かを本気で、愛したい。




……なんて。

つまらない。

くだらない。


なんなんだよ。

俺は――何がしたい?

救いようのない俺の、こんなくだらない願いを誰が叶えてくれるって言うんだ?

こんなもん、くそくらえだ。

ああ、もういっそ――……




――ッバシン!




そんな激しい音に、現実に引き戻される。

……何考えてんだ、俺。