第四章:世界の命運と婚約者と引きこもりライフの三つ巴!?

――王都上空。

空一面に広がる魔王軍。
黒く、禍々しい雲を割って降り立つは、筋肉隆々の魔王・ザグレオス。

「よう、パジャマ姫。そっちは準備できたか?」
ルクシア「せめて“聖女”って呼んで……いややっぱ呼ばなくていいわ」

「お前さえ倒せば、あとはザコばっかなんだよなぁ~」
「へえ……じゃあ、そのザコのなかに**“婚約者希望”**混ざってるって知ってた?」
「は?」
「あ、はい。私が“ルクシア様の盾”になります!心も身体も、全力で!」
――そう。王女クラリスが、ルクシアの前に仁王立ちしていた。

クラリス「ルクシア様が傷つくぐらいなら、私が千回殴られた方がマシです」

魔王「……その発言、なんか俺にダメージ入ってるんだが」

ルクシア「いや私もわりとメンタルに来てるよ!!やめて!!羞恥でHPが減ってる!!」

空中戦、開幕!
魔王軍 vs アルデシア王国の総力戦。

「援護します聖女様!」
「回復魔法いきますっ!」
「ついでに結婚してくださ――」
「黙れ恋愛脳!!!!」
ルクシア、パジャマ姿で光の翼を展開。

「面倒くさいから、一撃で終わらせる!!」
「まさか……またあれを……!」
魔王「待て待て待て! お前、また“あの技”使うつもりか!? 俺の城、地形ごと消えるんだぞ!!」

ルクシア「うるさい!!私は寝たいんだよ!!!」

必殺技「聖女無限拡散式☆癒しの爆心地」
彼女の足元に、神聖魔法陣が展開される。
その中央に座るのは、ぬいぐるみを抱えたパジャマ姿の少女。

「――おやすみなさい、世界」
次の瞬間。

ドンッッッッ!!!!!!!!!

あらゆる魔力が爆発的に放出され、
空も、地も、敵も、味方も――

すべてが癒されて寝た。

魔王「(Zzz……)」

兵士「(スヤ……)」

クラリス「(ああ……尊……)」

世界中のあらゆる存在が、8時間熟睡した。

最終章:ひきこもり聖女、再び布団の中へ

そして――翌朝。

「世界は救われましたぁぁぁああああ!!」
王国中が歓喜に包まれる。
魔王は敗北し、平和が戻った。

でも。

ルクシア「――で? もういい? もう誰も起こしに来ない? 本当に?」

モフたん「にゃっ(大丈夫)」

ルクシア「布団、ただいまーーーっ!!」

彼女は、全力でベッドに飛び込み――

「あったかい……神……」
そのまま三日三晩、目を覚まさなかったという。

エピローグ:ある日の王城
王女クラリスは、毎日ベッドサイドに座っている。
聖女に布団をかけ、牛乳を置き、耳元で囁く。

「好きです、ルクシア様。結婚はいつでも受け付けております」
ルクシア「(寝たふり寝たふり寝たふり)」