シオンくんと付き合い始めてからというもの僕は幸せの絶頂に居た。

「サト!」

「シオンくん!」

僕達は毎日休み時間の度に別室登校で使われている教室でふたりきりの時を過ごしていた。

「あら!サト君のお友達?」

「はい」

いつもはホームルームが終わると居なくなるスクールカウンセラーのおばあさんが今日は何故かシオンくんに話しかけている。

「もうすぐそっちもホームルームが始まるわよ。遅れないようにね」

「はい」

「…それじゃあ、ね」

もう少しだけでも一緒に居たいと名残惜しく思いながらシオンくんにしばしの別れを告げる。

「あぁ、またな」

いつもはここでキスを交わすが、スクールカウンセラーが居るので我慢していると、シオンくんが手を振り、教室を退出した。

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昼休み

シオンくんが別室に来るとおかず交換が始まる。

僕の好物はシオンくんお手製の卵焼き

シオンくんの好物は僕の手作りクッキーだ。

それをふたりであーんし合うのが日課になって居た。

「ご馳走様、今日も美味しかった」

「ご馳走様、こちらこそ今日も美味しかったよ」

「あぁ…ふぁぁ」

「眠い?どうしたの?」

「いや、なんでもない。最近ずっとバイト生活だったから」

「バイト?何のバイトしてるの?」

「駅前のカフェ」

「あ、ここ?」

僕はスマホで検索をしてシオンくんに見せる。

「そうそう」

「美味しそうだよね、ここのケーキ」

「めっちゃ美味い」

そんな他愛もない話をしていると予鈴が鳴る。

「…っと、もー行かなきゃ」

席を立ち、僕の顎にシオンくんが触れ、別れのキスをする。


「…今日は一緒に帰れる?」

「帰れるよ。ここで待ってて」

「わかった、またね」

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放課後

シオンくんが約束通りに僕を迎えに来る。

だが、まだホームルームが始まらずに居た。

「お、お前またここに来て〜どうした?」

「友達を待ってるだけです」

「ふーん…早く帰れよー」

先生が入室し、無事にホームルームが始まる。

「お待たせ!」

ホームルームが終わりシオンくんの元へ駆け寄るとシオンくんは途端に笑顔になった。

「仲良いなぁ、お前ら」

「先生…?」

「あんまりに仲良いとまた噂されるぞー」

「…!」

「…やられた…」

小声で呟くとシオンくんは踵を返して歩き出す。

僕も後を追いかけて、学校を後にした。

その夜、僕達はルールを決めた。

・学校ではイチャつかない

・対面もランダム(その都度メッセージで確認)にする

・会話でもお互いの名前は避ける

・お互いだけを信じる

・隠し事はなし

・思ったことを我慢しない