放課後
シオンくんはまたいつものようにショウとふたりで帰って行った。
僕は暫く教室で課題をやっつけながらも思考はあのふたりのことへと傾いて行く。
。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧
「佐藤!おい!起きろ!」
次第に僕は課題を放棄して眠りに落ちていたらしい。
窓の外に映る景色はすっかり暗くなり紺とオレンジのグラデーションを作り出していた。
「早く帰れよー?」
「はーい」
担任の先生に起こされ、意識が覚醒すると僕は荷物を纏めて教室の施錠をし、職員室に鍵を返しに行ってから帰路へと着くのだった。
。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧
家に帰ると母さんの上機嫌な鼻歌が聞こえてくる。
「ただいまー」
「おかえり〜」
「サト、ちよっといいか?」
「父さん?どうしたの?」
「サト、お友達が来てるんだぞ。どうしてもっと早く帰って来ないんだ?」
「おじさん、俺はサトさんとは約束していた訳ではないので…」
父さんの背後からシオンくんがぴょこっと出て来る。
「えっ?!シオンくん!?どうして…」
「…全く、父さんの言うことを聞きなさい、サト」
「まあまあ、ふたりとも積もる話もあるでしょうから、一旦部屋に行ってなさい。今お茶とお菓子渡すから」
にこにこと微笑みながら母さんは僕達を部屋へと行かせた。
。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧
「シオンくん…?どうしたの?」
「俺、今日の昼休みに母さんと会うって言ってただろ?」
「うん…」
「それで…会って来たんだ。でも、母さんの隣に知らない男の人が居たんだ。それで、この人と結婚するからもう会わないって言われてる所に父さんも来ちゃって揉めて…父さん酒癖凄く悪いからこのままじゃ危険だから泊めて欲しいんだってお願いをしに来たんだ」
「…そっか…僕は大丈夫だけど、一応母さん達にも確認しなきゃだね」
「サト…ありがとう」
「でも、ショウさんとか他にも頼る人居なかったの?」
「ショウは…父さんの愛人の子でな。すぐバレるから頼れないしショウ以外の友達はサトしか居ないからサトを頼ったんだ」
「そっか…愛人の子だったんだ…でも、ふたりは凄く仲良しだよね?」
「ショウに罪は無いだろ。だから親にバレないように仲良くしてるんだ」
「そっか…やっぱりシオンくんは優しいよね。だからショウさんも懐いてるんだよね」
「…そうかな?でも、そんなこと初めて言われた…ありがとう」
。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧
無事(?)に宿泊の許可も下りて僕とシオンくんはどちらが床で寝るのかを話し合っていた。
「シオンくん、絶対ベッドの方がいいよ」
「でも、ここはサトの部屋だろ?」
「そうだけど…」
「だからベッドはサトが使え。俺はいつも床で寝てるから床の方が慣れてるんだよね」
「…わかった。でも、辛くなったら言ってね?すぐ変わるから」
「わかった」
そうして各自寝支度が終わると僕はベッドにシオンくんは床に敷いた布団に潜り電気を消す。
「なぁ、サト」
「ん?どうしたの?」
「優しくしてくれてありがとうな」
「え?」
「俺…今まで俺の家庭の事情を知ると友達皆からハブられて来たんだ」
「…なんで」
「俺を泊めたら父さんに"息子を取られた"ってマークされて嫌がらせを受けるから」
「…」
「過去に幼なじみが居たんだ。その子はとっても優しくて、朗らかな人だった…でも俺がアイツの所に入り浸ったせいでアイツとアイツの家族は心を壊して引っ越して行った」
「……そうだったんだ。だから、最初僕にも冷たくしてたんだね。僕、ずっと不思議だったんだどうしてシオンくんはとっても優しいのにこんなに冷たくするんだろ?って」
「そっかー……その通りだよ…怖かったんだ、人と仲良くなるのが…父さんは何をするかわからないから」
「シオンくん…」
「でも、ありがとう…サトがあの時諦めなかったお陰で気付けたんだ。俺も人と仲良くしてもいいんだって」
その時窓に小石がぶつけられる。
「シオ!!」
それと同時にショウの声が聞こえる。
「ショウ!?」
布団から出て窓を開けようとするシオンくんを僕は思わず後ろから抱きしめる形で引き止めていた。
「待って!」
「サト…?」
僕、なんでこんなことしてるんだろう。
「行かないで…!」
でも、嫌な予感がして止められなかった。
「えっサト…?」
「好きなんだ…僕はシオンくんが恋愛感情で大好きなんだ。だからショウよりも僕を選んで」
「だからショウはただの友達だってば」
「でも、ショウさんはそんな風には思ってないよ。ねぇ、どうしてショウさんは今外に居るの?必死にシオンくんのことを捜したからなんじゃないの?」
「…」
「ねぇ、シオンくん答えを聞かせて」
「サト…俺はサトが俺の事を好きって言ってくれて嬉しいよ。でも、俺もサトも男だろ…」
「シオンくん…そ…っか、そう…だよね!有り得ないよね…でも、好きなんだ。…ありがとう話聞いてくれて…おやすみ」
僕がベッドに戻るとシオンくんは窓を開け、ショウさんと少しやり取りを交わした後、僕に小声で御礼を言って出て行ったのだった。
シオンくんはまたいつものようにショウとふたりで帰って行った。
僕は暫く教室で課題をやっつけながらも思考はあのふたりのことへと傾いて行く。
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「佐藤!おい!起きろ!」
次第に僕は課題を放棄して眠りに落ちていたらしい。
窓の外に映る景色はすっかり暗くなり紺とオレンジのグラデーションを作り出していた。
「早く帰れよー?」
「はーい」
担任の先生に起こされ、意識が覚醒すると僕は荷物を纏めて教室の施錠をし、職員室に鍵を返しに行ってから帰路へと着くのだった。
。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧
家に帰ると母さんの上機嫌な鼻歌が聞こえてくる。
「ただいまー」
「おかえり〜」
「サト、ちよっといいか?」
「父さん?どうしたの?」
「サト、お友達が来てるんだぞ。どうしてもっと早く帰って来ないんだ?」
「おじさん、俺はサトさんとは約束していた訳ではないので…」
父さんの背後からシオンくんがぴょこっと出て来る。
「えっ?!シオンくん!?どうして…」
「…全く、父さんの言うことを聞きなさい、サト」
「まあまあ、ふたりとも積もる話もあるでしょうから、一旦部屋に行ってなさい。今お茶とお菓子渡すから」
にこにこと微笑みながら母さんは僕達を部屋へと行かせた。
。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧
「シオンくん…?どうしたの?」
「俺、今日の昼休みに母さんと会うって言ってただろ?」
「うん…」
「それで…会って来たんだ。でも、母さんの隣に知らない男の人が居たんだ。それで、この人と結婚するからもう会わないって言われてる所に父さんも来ちゃって揉めて…父さん酒癖凄く悪いからこのままじゃ危険だから泊めて欲しいんだってお願いをしに来たんだ」
「…そっか…僕は大丈夫だけど、一応母さん達にも確認しなきゃだね」
「サト…ありがとう」
「でも、ショウさんとか他にも頼る人居なかったの?」
「ショウは…父さんの愛人の子でな。すぐバレるから頼れないしショウ以外の友達はサトしか居ないからサトを頼ったんだ」
「そっか…愛人の子だったんだ…でも、ふたりは凄く仲良しだよね?」
「ショウに罪は無いだろ。だから親にバレないように仲良くしてるんだ」
「そっか…やっぱりシオンくんは優しいよね。だからショウさんも懐いてるんだよね」
「…そうかな?でも、そんなこと初めて言われた…ありがとう」
。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧 𑁍 𖧧.˚。。˚.𖧧
無事(?)に宿泊の許可も下りて僕とシオンくんはどちらが床で寝るのかを話し合っていた。
「シオンくん、絶対ベッドの方がいいよ」
「でも、ここはサトの部屋だろ?」
「そうだけど…」
「だからベッドはサトが使え。俺はいつも床で寝てるから床の方が慣れてるんだよね」
「…わかった。でも、辛くなったら言ってね?すぐ変わるから」
「わかった」
そうして各自寝支度が終わると僕はベッドにシオンくんは床に敷いた布団に潜り電気を消す。
「なぁ、サト」
「ん?どうしたの?」
「優しくしてくれてありがとうな」
「え?」
「俺…今まで俺の家庭の事情を知ると友達皆からハブられて来たんだ」
「…なんで」
「俺を泊めたら父さんに"息子を取られた"ってマークされて嫌がらせを受けるから」
「…」
「過去に幼なじみが居たんだ。その子はとっても優しくて、朗らかな人だった…でも俺がアイツの所に入り浸ったせいでアイツとアイツの家族は心を壊して引っ越して行った」
「……そうだったんだ。だから、最初僕にも冷たくしてたんだね。僕、ずっと不思議だったんだどうしてシオンくんはとっても優しいのにこんなに冷たくするんだろ?って」
「そっかー……その通りだよ…怖かったんだ、人と仲良くなるのが…父さんは何をするかわからないから」
「シオンくん…」
「でも、ありがとう…サトがあの時諦めなかったお陰で気付けたんだ。俺も人と仲良くしてもいいんだって」
その時窓に小石がぶつけられる。
「シオ!!」
それと同時にショウの声が聞こえる。
「ショウ!?」
布団から出て窓を開けようとするシオンくんを僕は思わず後ろから抱きしめる形で引き止めていた。
「待って!」
「サト…?」
僕、なんでこんなことしてるんだろう。
「行かないで…!」
でも、嫌な予感がして止められなかった。
「えっサト…?」
「好きなんだ…僕はシオンくんが恋愛感情で大好きなんだ。だからショウよりも僕を選んで」
「だからショウはただの友達だってば」
「でも、ショウさんはそんな風には思ってないよ。ねぇ、どうしてショウさんは今外に居るの?必死にシオンくんのことを捜したからなんじゃないの?」
「…」
「ねぇ、シオンくん答えを聞かせて」
「サト…俺はサトが俺の事を好きって言ってくれて嬉しいよ。でも、俺もサトも男だろ…」
「シオンくん…そ…っか、そう…だよね!有り得ないよね…でも、好きなんだ。…ありがとう話聞いてくれて…おやすみ」
僕がベッドに戻るとシオンくんは窓を開け、ショウさんと少しやり取りを交わした後、僕に小声で御礼を言って出て行ったのだった。