遠足の日からというもの僕はとある違和感を覚え始めていた。

「シオンくん!おは…」

「おー!シオ!はよ!」

「…はよ」

「なーシオ最近猫を飼い始めたんだろ?会わせてくれよー」

「まだ家にも慣れてないから無理」

「なんだよー。じゃ、慣れたら会わせろよなー」

「おー」

あの遠足の日以来、"ショウ"という人がシオンくんと一緒に居る時間が増えた。

なんならもう僕よりもずっと一緒に居る。

そのふたりの姿を見かけるたびに僕は言葉には言い表せない複雑な気分になる。

だから僕は気づかれないようにそっと距離を離して人混みに紛れた。


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教室に着くとシオンくんが挨拶をして来る。

その挨拶が嬉しい。

覚えていてくれてると安心する。

だが、その安心を壊すようにショウという人はシオンにくっつく。

そして僕はまた複雑な気持ちになる。

僕だって隣に居たい。

僕だって"シオ"って呼びたい。

抱きしめていたい。



「あれ…?」



何でこんなこと同性に対して思ってるんだろう。


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放課後

「シオー!まだー?」

「ちょい待ちー」

ショウという人がクラスまで迎えに来る。

そして僕の気持を知ってか知らずかニッと勝ち誇ったように笑うとシオンくんを連れ去って行った。

「はぁ…」

僕も帰ろうかと思ったが、今帰ると電車で出会すかもと思い教室でスマホをいじって時間を潰す。


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暫く教室に居ると生徒の帰宅を促す放送が流れ始める。

僕ももう流石に居ないだろうとのんびり歩き出した。

学校を出てもうすっかり散った桜を見てまるで僕の心境のようだと自分と地面に落ちた桜の花弁を重ねていた。




「サト!」


「!?シオン…くん…?どうして…?」

もうとっくに帰っていたはずなのに

「最近話せてなかったから…折角仲良くなれたのに寂しくて」

「シオンくん…」



そんな不安そうな顔で上目遣いで聞かないでよ。




ごめんね、シオンくん。



僕、気付いちゃったよ。




シオンくんが好きだってことに…