「流星くん、あのノート、衣都がなにか書いていたの?」 聞かれて、俺はカバンのほうに目を泳がせる。 あのノートはまるでお守りのように、ずっと持っていた。 そうしなければ、忘れてしまう気がしたから。 衣都が決めた俺の予定を。 そして衣都そのものを。 衣都の声、衣都の顔、思い出さえも。 それが不安で不安で仕方なくて…大切に大切に、カバンの奥に入れてあるのだ。