たとえば、まだなにか起きたときに真っ先に「なあ、衣都」と虚空に話しかけてしまうし、給食できのこが出ると「衣都は食べれないな」と思ってしまったりするのだ。 中学のクラスメイトも何人か通っているから、変な目で見られず、代わりに憐れみを浴びることとなった。 そう、俺はまだ衣都の死を引きずっている。 15歳、高校生になっても、3年経ってもまだ。 ―――あの手紙の続きは、読めずにいる。