ふつふつと、忘れかけていた感情が湧き上がる。 これは、怒りだ。 いつもよりも、もっともっと強く、深い―――痛みだ。 「どうして」 カラカラに乾いた喉が次の言葉を探す。 「どうして、俺の傍で…死んでくれなかったんだ?」 衣都はもういない。 思いをぶつけるべき人は、伝えるべき人は。 俺が愛した人は、もういない。