俺はすん、と鼻を鳴らす。 「…全然、匂いもまだだな」 つぼみの金木犀を見ながらそう答える。 「そっかぁ…」 ほんのかすかすぎる香りは、嗅覚が鈍くなった衣都にはわからないだろう。 …だから俺も、わからないことにする。