衣都の家に寄ると、衣都のお母さんが出てきた。 「おばさん!衣都、風邪ですか?」 明るく声をかけたとき、気付いた。 ―――ああ、違うな。 風邪じゃない。 衣都のお母さんは暗い顔をしていた。 風邪は、言っちゃあ悪いがいつものことで、おばさんもいつもは『そうそう。いつもありがとね、流星(りゅうせい)くん』と笑って言ってくれていたはずなのに。