「まだ全然だな」 「本当だね…残念」 金木犀の木は、つぼみと思しきものがいくつかあったが、基本的には暗い青々とした葉ばかりが茂っていた。 「満足した?」 「う〜ん…匂いもあんまりしてない?」 衣都が背もたれ越しにこちらを見て俺に聞く。 そういや、嗅覚も衰えてきてしまったんだっけ。