腕の点滴のあとは増え、嗅覚も鈍ってきていたのが8月の後半。
廊下の途中で倒れてから、衣都は立つことができなくなった。
移動するときはたいてい、俺が車椅子を押している。
学校でも衣都の病気のことが公表され、今衣都の病室には色とりどりの千羽鶴が飾られていた。
それを見て俺はいつも、ああ衣都は慕われていたんだな、と思い出す。
そして俺は、労わりや同情の目を向けられるようになった。
当然、俺の恋はクラス全員どころか学年全員が認識しているようなもので、知らないのは衣都だけだろう。
俺が静かに衣都のもとへ通っているのを見て、全員が察したらしい。
応援はせず、彼らも俺を静かにに守っていた。


