衣都は死んだ。
この世界に衣都はいない。
衣都はいない。
二度目の世界も、変わらず回っていく。
衣都のことはまだまだ引きずっているし、鮮明に思い出せる。
夏の入道雲の白さを見るたびにあの病室を思い出すし、セミの鳴き声を聞くたびに不吉な感覚に襲われる。
それでもまだ、マシだと思ってしまう。
覚えていないより、引きずれないより、衣都と思いが通わなかったいつかよりも、ずっと。
衣都のいない世界で、3年が経とうとしていた。
俺は前回よりも多少頭の良い高校に入り、別の友人に出会い、別の授業を受けている。
今年も夏は青く過ぎてゆく。


