それでもやはり、毎日会っていたころよりも思い出しにくくなっているのは確かで。
もう一度、あのように思い出すことはできなくて。
それが怖い。
衣都を忘れることが、怖くて怖くて仕方がない。
いつの間にか衣都を忘れて、自由に笑ってしまいそうなのだ。
新しい友達ができて、恋人ができて、そうやって、時折思い出して感慨にふけるような、そんな未来が来てしまいそうなのだ。
そんなものじゃない、と叫びたくなる。
衣都はそんなふうに、「思い出」として扱っていいような人じゃないのだ。
彼女は、俺のたった1人の恋人。
衣都は、俺が世界で初めて見つけた、たった1人の恋人。
目を開ける。
夏の青空と入道雲がチカチカと光って眩しくて、また目を細める。


