くだらない話で笑い合って、無邪気に転げ回って。
どれだけ楽しかったろう。
幸せな日々が蜃気楼よりも淡いなにかとなって消えていく。
息苦しい。
ねっとりとした水中のような感覚で、うすぼんやりとした夢と現実をさまよう。
そのどこにも衣都がいなくて。
もしかして全部俺の幻覚だったんじゃないか、とさえ思ってしまう。
だって彼女は夢にすら出てこない。
励ますことも、笑うことも、過去を見させることもなく、ただただ静かに消えていった。
だけど、アルバムの写真には確かに衣都がいて。
俺が生きていた証すべてに衣都がいて。


