「本当、数学難しすぎるだろ…衣都、あんなに点数取れてて苦手なのか。すごいな。」
「もう夏休みも半分終わったぞ。衣都、最近は本当に暑いんだ」
「―――昨日、アイス食べたんだ。オレンジ味。衣都、好きじゃなかったっけ。また今度食べさせてやるよ」
叶いもしない約束を、ありもしない未来を。
聞こえないから、と言い訳をして彼女のそばで語り続ける。
そして面会時間が終わる夕方まで、俺は静かに衣都に語りかけ続けるのだ。
「―――バイバイ、衣都。また明日」
いつまで「明日」が続くかは、俺にはわからないけれど。
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