「…衣都の薬を、作ってほしい」
両親の仕事に、俺はあまり詳しくない。
衣都が亡くなったあとすぐに父は転職してしまったし、母は専業主婦として引っ込んでしまった。
中学の時代はあまり興味を持っていなかったし、専門用語ばかりで難しかったから、あまり理解していなかった。。
ただ、知っているのは。
2人は同じ製薬所とか病気の研究所みたいなところに勤務していて、衣都みたいに珍しい病気の治療薬を開発する部門にいること。
という情報だけだった。
「―――俺1人じゃ、衣都を助けられない。ねえ母さん、衣都のこと、俺は絶対に助けたい」
母の目を見て、そう乞い願う。
母はため息を付いて、父に「手は空いてる?」と聞いた。


