「…なあ」 俺はそんな空元気も出せずに、震える声で口に出す。 ああ、言葉が見つからないよ。 衣都、君は。 君は、君は、君は、君は。 「なんで、入院」 やっとのことでその単語だけを伝えると、衣都がくすりと笑った気配がした。 それと同時に、病院特有の消毒液の匂いも。 気に食わない。 衣都と病院。 それがこんなにも親和性のないものだとは、今日の今日まで気づかなかった。