えーっと。
汐くんがキラキラな瞳で私を見ているから、楽しみにしてて、やってくれると助かる!という感情が伺える。
「わ、わかった」
「は?」
「え?」
葵も、聞いた本人汐くんも驚いたように思わず声を漏らした。
「え…?」
なんで私がこんなに驚かれているのかも、よくわからない。
私はただ唖然として2人を見比べることしかできない。
「あ、ありが、と…」
「え? えっと、う、うん」
まだ呆然としながらお礼を言ってくれた汐くん。別にお礼を言われる程のことじゃないような…だって、ただ普通にしてるところを見られるってだけだし…。
そんなこんなで、汐くんに観察(?)される日々が始まった。
と言っても私はいつも通りにしてるだけだから普通の日常なのだけど…。
何個か困ったことがある。
汐くんが現れてからずーっっと、葵の機嫌が悪い。特に汐くんに対して当たっている。汐くんはにこにこしながら「そんな〜」「ひどい〜」ってっ軽く流していて、汐くんが優しいということはわかったものの、何故怒っているのかはよくわからない。汐くんはわかってる…のかな?
そして、もう一つの困り(?)事は…現在起こっていることだ。
「えーっと…、汐くん…?」
「なになにっ?」
元気に返事してくれる汐くん。それは良いんだけど…。
「ちょっと、あの…」
「ん?」
肩に重さを感じる。
そして、汐くんの声が耳元で聞こえるため、よく聞こえる。
「あの〜…観察するだけなのでは…?」
観察。そういうのは、ただ私を遠くから見ているだけなのだろうと思ってたんだけど…。
何故かさっきから肩にもたれかかってきてる汐くん。汐くんは私に全体重をかけてる訳ではないのか、それともただただ汐くんが軽いのか、結構軽い。
軽いから、重さは全然大丈夫なんだけど…。
ずっと汐くんが私の顔をじいいいいいいいーーーーっと見てくる。
それをずっと続けているたび、葵の機嫌が最悪になって行ってる。
「おい、お前…」
「ん?」
最近気付いたんだけど、あまり葵は汐くんのことを名前で呼ばない。しかもよく「おい」って呼んでいる。
「何してんだ?観察するとかなんとか言ってたじゃないか。人を植物みたいに扱ったくせに好き勝手しやがって…」
めっちゃ低い声で静かにキレている。



