そうして、たまに親、そして学校への罪悪感に苛まれながらも、葵の過ごす廃墟の屋上での生活に慣れてきた。
たまに葵は謎にどこかに行ったりしているけれど、理由は聞かないでおいた。
葵はものすごく面倒くさがりらしく、買い物は全て私がいっていた。
こういう習慣をしていると、たまにずっとこんな生活をしていたみたいな、妙な懐かしさを感じる。
前世の記憶を、全て思い出せたらいいな。
そんなふうに思っていた、日のことだった。
ふらりとどこかに行っていた葵が、帰ってきた。
——ギイイッ
「帆香」
「な、何…?」
「帆香は」
——ダンッ
葵に初めて会った時みたいに、何かが落ちたような音がする。
屋上へ入るドアの上から聞こえた。
人は乗れそうだけど、すごく高いから登れない。そんなところから聞こえた。
「え…?」
私も葵も慌てて振り向く。
「ねえ」
すごい可愛らしい声が聞こえた。
その子が立ち上がったのか、私の方からは少し姿が見えた。
ふわふわな髪。くりくりで大きな丸い瞳は細められている。にっこりと笑っていた。
すごい、可愛い…。
顔も整っているし…。
彼はトンっと降りてきて、葵を見る。
「あおくんがすっっっっっっっごい、前世から大切にしてる子がいるって聞いたから、僕も見てみたくなっちゃった♪」
そう言って私の方を見てくる。た、大切に…?
そ、そうなの?
そもそも…あおくんって、だれ…?
も、もしかして。
葵を見たら、驚いた表情で彼を見ていた。
「お前…、なんでここに」
「なんで? って、さっき言ったじゃん」
内容が頭に入ってこなくて、ただ「えっ、えっ」っとうろたえる私に気付いてか、彼がこっちを見た。
「初めましてっ。僕、汐っていうよっ。あおくんだけじゃなくて、僕のことも忘れないでねっ」
そう言って、汐くんはとびきり可愛い笑顔を浮かべた。



