一方、パーティー会場では何やら空の雲行きが怪しくなっていた。
黒い雲はあっという間に小島の上空を埋め尽くした。
会場のあちこちで、「嵐かしら」「早めに切り上げましょう」という声が上がる。
ガーデンパーティーはここでお開きとなった。
招かれた人々が足早に小島を後にする中、アリスの側近レイがアリスの姿をあちこち探していた。
「…アリス様、一体どこへ、、」
そんな様子のルイを見ていたロザリアが彼に近寄った。
「王女なら、先ほど小船に乗って帰って行ったわよ。」
「えっ本当ですか??私に何も言わずに帰られるなんて…。ロザリア様ありがとうございます、すぐに確認します。」
そう言って慌てるルイを見てロザリアは扇子をユラユラにやっと笑みを見せた。そして、塔を見上げた。
隣にいたロザリアの側近エドは何も口出ししなかったが小さく溜息をついた。
***
「ねぇ、そろそろ戻ろっか」
本に夢中のシドにアリスが声をかけた。
「……そうだな」
シドが手にしていた本を丁寧に棚に戻し、ふたりは階段を上って地上へと向かった。
扉を開いた瞬間、ぴしゃりと冷たい風が顔に当たる。
空はどんよりと曇り、風が湖の面を荒らしていた。遠くで雷が鳴り、木々がざわめいている。
「……嵐?」
「これ、ちょっとやばいかもな」
「それより、みんなもう居ないわ」
会場には既に誰も残っていなかった。みんな小船で王宮へ戻ったようだ。まだテーブルや椅子はそのまま残されていた。
「ここでやり過ごすしかない、か」
ふたりは顔を見合わせ、小さく笑ってから、塔の中へと引き返した。
塔の扉を閉じると、嵐の音がぐっと遠ざかり、再びあの静かな空間が戻ってくる。
アリスはふと、心の中で思った。
――もう少しだけ、この人と2人きりでもいいかも。
黒い雲はあっという間に小島の上空を埋め尽くした。
会場のあちこちで、「嵐かしら」「早めに切り上げましょう」という声が上がる。
ガーデンパーティーはここでお開きとなった。
招かれた人々が足早に小島を後にする中、アリスの側近レイがアリスの姿をあちこち探していた。
「…アリス様、一体どこへ、、」
そんな様子のルイを見ていたロザリアが彼に近寄った。
「王女なら、先ほど小船に乗って帰って行ったわよ。」
「えっ本当ですか??私に何も言わずに帰られるなんて…。ロザリア様ありがとうございます、すぐに確認します。」
そう言って慌てるルイを見てロザリアは扇子をユラユラにやっと笑みを見せた。そして、塔を見上げた。
隣にいたロザリアの側近エドは何も口出ししなかったが小さく溜息をついた。
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「ねぇ、そろそろ戻ろっか」
本に夢中のシドにアリスが声をかけた。
「……そうだな」
シドが手にしていた本を丁寧に棚に戻し、ふたりは階段を上って地上へと向かった。
扉を開いた瞬間、ぴしゃりと冷たい風が顔に当たる。
空はどんよりと曇り、風が湖の面を荒らしていた。遠くで雷が鳴り、木々がざわめいている。
「……嵐?」
「これ、ちょっとやばいかもな」
「それより、みんなもう居ないわ」
会場には既に誰も残っていなかった。みんな小船で王宮へ戻ったようだ。まだテーブルや椅子はそのまま残されていた。
「ここでやり過ごすしかない、か」
ふたりは顔を見合わせ、小さく笑ってから、塔の中へと引き返した。
塔の扉を閉じると、嵐の音がぐっと遠ざかり、再びあの静かな空間が戻ってくる。
アリスはふと、心の中で思った。
――もう少しだけ、この人と2人きりでもいいかも。



