王宮内では、年に一度の剣術大会を目前にして活気づいていた。
これは国の警備力を示す式典的意味も持ち、貴族、騎士、魔法使い問わず、武を持つ者なら誰でも名乗りを上げることができる。
アリスは王女として出席こそするが、今回は観覧席からの見学だけ。
彼女はこの大会が密かに好きだった。なぜなら、普段は隠されている人々の実力が一気に花開く瞬間を見ることができるから。
そして、参加者の名簿には――
「……シドの名前があるじゃない」
控え室で名簿を眺めていたアリスが、驚いたように呟く。
口元に微かな笑みを浮かべながら、アリスは名簿をそっと伏せた。
いつもはロザリアの隣で雑用をこなしている印象しかなかった。
それがいま、貴族や騎士たちと肩を並べて剣を振るうなんて。
まるで、知らなかった顔を見たような、不思議な気持ちだった。
そのとき、控え室の扉が少し開いて、リアンが顔をのぞかせた。
「アリス様、観覧席の準備が整いました」
「ありがとう、リアン。……ねえ、シドって剣も使えるの?」
リアンは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに小さく頷いた。
「はい、実は……かなり、上手なんです。私も、最近知ったんですけど……」
「ふうん」
アリスは小さく鼻を鳴らし、肩をすくめた。
「なんであの人、そういうところ隠すのかしら。やっぱり、変な人」
でも心のどこかで、その“変な人”の剣を見てみたいと思っている自分がいた。
これは国の警備力を示す式典的意味も持ち、貴族、騎士、魔法使い問わず、武を持つ者なら誰でも名乗りを上げることができる。
アリスは王女として出席こそするが、今回は観覧席からの見学だけ。
彼女はこの大会が密かに好きだった。なぜなら、普段は隠されている人々の実力が一気に花開く瞬間を見ることができるから。
そして、参加者の名簿には――
「……シドの名前があるじゃない」
控え室で名簿を眺めていたアリスが、驚いたように呟く。
口元に微かな笑みを浮かべながら、アリスは名簿をそっと伏せた。
いつもはロザリアの隣で雑用をこなしている印象しかなかった。
それがいま、貴族や騎士たちと肩を並べて剣を振るうなんて。
まるで、知らなかった顔を見たような、不思議な気持ちだった。
そのとき、控え室の扉が少し開いて、リアンが顔をのぞかせた。
「アリス様、観覧席の準備が整いました」
「ありがとう、リアン。……ねえ、シドって剣も使えるの?」
リアンは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに小さく頷いた。
「はい、実は……かなり、上手なんです。私も、最近知ったんですけど……」
「ふうん」
アリスは小さく鼻を鳴らし、肩をすくめた。
「なんであの人、そういうところ隠すのかしら。やっぱり、変な人」
でも心のどこかで、その“変な人”の剣を見てみたいと思っている自分がいた。



