建国記念日の夜、王宮では毎年恒例の盛大な舞踏会が催された。
王国の貴族や高官、そして国外からの来賓までもが集い、夜会の始まりを告げる音楽が響き渡る。
そのきらびやかな空間の片隅で、アリスは一歩引いた位置に立ち、客人たちの様子を静かに見渡していた。
王女という立場上、姿を見せることは求められるが、彼女自身は舞踏会に興味はなかった。
「……あの人は?」
視線の先には、異国の気品を漂わせる女性――アデレードがいた。
そして、その彼女と向き合っているのは、シド。
アリスの表情に、ごくかすかに陰が差す。
アデレードの真剣な眼差し、シドの毅然とした拒絶。それを見届けた後、アリスはふっと視線を落とした。
「…知り合い、な訳ないわよね。ここにいるのは王族や貴族ばかり…」
淡い思考の渦が、胸の奥に静かに広がっていった。
「どうかしましたか?」
レイがアリスに声をかけた。
「…あ、いや、あのシドと話してる方どなたかしらと思って。」
「…ああ、あの方はアスタリト王国国王の姪御様のアデレード様です。」
「そうなの。知り合いかしら?シドと。」
会話する2人を見てアリスは少し表情を暗くした。
「ロザリア様のご指示でしょう。ロザリア様なら各国に知り合いが大勢おりますし。」
レイの言葉にアリスは頷いた。
王国の貴族や高官、そして国外からの来賓までもが集い、夜会の始まりを告げる音楽が響き渡る。
そのきらびやかな空間の片隅で、アリスは一歩引いた位置に立ち、客人たちの様子を静かに見渡していた。
王女という立場上、姿を見せることは求められるが、彼女自身は舞踏会に興味はなかった。
「……あの人は?」
視線の先には、異国の気品を漂わせる女性――アデレードがいた。
そして、その彼女と向き合っているのは、シド。
アリスの表情に、ごくかすかに陰が差す。
アデレードの真剣な眼差し、シドの毅然とした拒絶。それを見届けた後、アリスはふっと視線を落とした。
「…知り合い、な訳ないわよね。ここにいるのは王族や貴族ばかり…」
淡い思考の渦が、胸の奥に静かに広がっていった。
「どうかしましたか?」
レイがアリスに声をかけた。
「…あ、いや、あのシドと話してる方どなたかしらと思って。」
「…ああ、あの方はアスタリト王国国王の姪御様のアデレード様です。」
「そうなの。知り合いかしら?シドと。」
会話する2人を見てアリスは少し表情を暗くした。
「ロザリア様のご指示でしょう。ロザリア様なら各国に知り合いが大勢おりますし。」
レイの言葉にアリスは頷いた。



