正午を告げる鐘が王都に響き渡る。
その音を合図に、城門前に列を成した衛兵たちが槍を整え、王宮の前庭には歓迎の花々が風に揺れていた。
青と金の紋章を掲げた馬車が、ゆっくりと王宮の正門をくぐる。
ステラード王国の王子、アルフィ殿下の一行である。
***
アリスは玉座の間で、その到着を静かに待っていた。
白銀のドレスに身を包み、背筋をまっすぐに伸ばして立つその姿は、いつもの明るさとは違う、王族としての気品を纏っていた。
「アリス様、お気を楽に。……緊張が伝わってしまいます」
横に立つレイが、少しだけ肩をほぐすように囁いた。
「してないってば」
小さく息をついたアリスは、玉座の間に現れた客人の姿に、自然と表情を作った。
「ようこそ、イスタリア王国へ。アルフィ殿下」
現れた青年は、王族らしい整った顔立ちと優雅な所作を持ち、口元には余裕の笑みを浮かべていた。
「この度は温かく迎えてくださり光栄です。王女アリス殿下」
軽く頭を下げたその様子は礼儀正しかったが、どこか余裕を感じさせる。
そしてすぐ後ろには、ロザリアと共にシドの姿が控えていた。
殿下の視線がふと、シドの方に流れ――
「……随分と興味深い方が補佐にいらっしゃるようだ」
「我が国の魔導補佐官、シドです。魔法に精通した者でして」
ロザリアがさらりと紹介すると、アルフィはにこやかにシドに近づいた。
「シド殿。そちらの国では魔法使いの数も多いと聞いていましたが……なるほど、これは確かに」
「恐縮です、殿下。」
シドは柔らかく笑いながらも、相手の目を真正面から見ていた。
どこか探るようなアルフィの視線に、ほんの少しの違和感が残る。
その音を合図に、城門前に列を成した衛兵たちが槍を整え、王宮の前庭には歓迎の花々が風に揺れていた。
青と金の紋章を掲げた馬車が、ゆっくりと王宮の正門をくぐる。
ステラード王国の王子、アルフィ殿下の一行である。
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アリスは玉座の間で、その到着を静かに待っていた。
白銀のドレスに身を包み、背筋をまっすぐに伸ばして立つその姿は、いつもの明るさとは違う、王族としての気品を纏っていた。
「アリス様、お気を楽に。……緊張が伝わってしまいます」
横に立つレイが、少しだけ肩をほぐすように囁いた。
「してないってば」
小さく息をついたアリスは、玉座の間に現れた客人の姿に、自然と表情を作った。
「ようこそ、イスタリア王国へ。アルフィ殿下」
現れた青年は、王族らしい整った顔立ちと優雅な所作を持ち、口元には余裕の笑みを浮かべていた。
「この度は温かく迎えてくださり光栄です。王女アリス殿下」
軽く頭を下げたその様子は礼儀正しかったが、どこか余裕を感じさせる。
そしてすぐ後ろには、ロザリアと共にシドの姿が控えていた。
殿下の視線がふと、シドの方に流れ――
「……随分と興味深い方が補佐にいらっしゃるようだ」
「我が国の魔導補佐官、シドです。魔法に精通した者でして」
ロザリアがさらりと紹介すると、アルフィはにこやかにシドに近づいた。
「シド殿。そちらの国では魔法使いの数も多いと聞いていましたが……なるほど、これは確かに」
「恐縮です、殿下。」
シドは柔らかく笑いながらも、相手の目を真正面から見ていた。
どこか探るようなアルフィの視線に、ほんの少しの違和感が残る。



