魔法使い時々王子

シドは、アリスとの関係、そして今、二つの国で起きている、星晶を巡る問題。

さらに、アリスの兄と、祖国の実の兄から持ちかけられた提案について――。

これまで誰にも話してこなかったことを、すべて三人に話した。

すべてを話し終えると、シド以外の三人は動揺したように黙り込んだ。

しばらくして、リアンが絞り出すような声で尋ねた。

「……じゃあ、シドは……アスタリトに帰るの……?」

シドは静かに頷いた。

「ああ」

少しの沈黙のあと、シドはゆっくりと口を開いた。

「俺は、この国に来て初めて……幸せっていうものを感じたんだ」

三人は黙ってシドの言葉を聞いていた。


「友達ができて、仕事ができて……生きることを、初めて前向きに考えられるようになった」

シドは三人を見つめた。

「アリスとは、知り合った頃からどこか自分と似ていると思ってた。境遇も、抱えているものも……」

一度、言葉を止め、真っ直ぐな瞳で続けた。

「だからこそ、アリスにも幸せになってほしい。俺がこの国で感じたような幸せを、アリスにも感じてほしいんだ」

シドの声には、強い意志が込められていた。

「……あいつが幸せになれるなら、俺は何だってする。アリスを、絶対に一人にはしたくない」

真剣なシドの表情を見つめていたキースが、ゆっくりと立ち上がった。

そしてシドの肩に手を置く。

「どこにいても、俺たちは親友だ」

シドがキースを見る。

「助けが必要なら、いつだって駆けつける。だから……シドが思うままにしたらいい。」

キースの言葉に、レオも力強く頷いた。

「……ああ。俺も同じだ」

そしてリアンは、今にも泣き出しそうな顔でシドの手を握った。

「シド……」

声が震えている。

「あなたなら、アリス様を救える」

リアンは涙を堪えながら、シドを見つめた。

「アリス様を……お願い!」

シドの目の奥が、熱くなる。

けれど、溢れそうになるものをぐっと堪え、三人を見つめた。

そして、強く頷いた。

「……ああ。任せてくれ」