魔法使い時々王子

そして――帰る日の前日の夜。

皆が寝静まった頃。

アリスは自室の机に向かい、一通の手紙を書いていた。

宛先は、シド。

アヴェリア宮殿でアルシエラと過ごしていること。

そして、セオに計画について話したこと。

今、セオがどうするべきか慎重に考えていること。


アリスは書き終えた手紙を丁寧に折り、封をした。

そして、窓を開ける。

「エミリー」

笛を吹くと、しばらくして夜空の向こうから一羽の白い鳩が飛んできた。

エミリーは窓辺へ降り立つ。

「エミリー、いつもと違う場所でごめんなさいね。手紙をよろしく」

「かしこまりました」

エミリーはアリスから手紙を受け取った。

「それでは、行ってまいります」

「お願いね」

エミリーは翼を広げると、夜空へ飛び立っていった。

アリスはその姿を見送る。

その時――

コンコン。

静かな夜に、扉を叩く音が響いた。

「……?」

アリスが振り返る。

「どうぞ」

ゆっくりと扉が開いた。

「夜分にごめんなさいね」

そこに立っていたのは、アルシエラだった。