「戻りました。」
シドが執務室に戻ると、ロザリアとエドが神妙な顔で一通の手紙を読んでいた。
「…全く急な話だわね。」
「あの国はいつもそうです。」
ロザリアは大きな溜息を吐くとシドに視線を向けた。
「…シド。ステラード国から外賓が来るわ、2週間後よ。あいにくルイ王子が居ないからアリス様が対応なさるわ。」
「2週間後??急だな……」
「あなたも私の補佐として、王女の警護兼随行をお願いするわ。きちんと礼儀作法も学んでね?」
「……え?俺もですか。」
「ふふ、初仕事のときより顔色が悪いわね。心配しないで、立ち振る舞いの講師はちゃんとつけておくから」
***
「第一王子が……2週間後に?」
ドレッサーの前で髪を整えていたアリスが、手を止めた。
「はい。ステラード王国の第一王子、アルフィ殿下が正式に王宮を訪れるとのこと。」
レイは慌てた様子でアリスに報告をした。
「兄上は、たしか視察に出る予定よね」
「ええ。ゆえに、公式の応対はアリス様が務めることになります」
アリスは静かに鏡に向き直った。そこには、王女としての威厳と不安の間で揺れる自分の顔が映っている。
「……私で、務まるかしら」
レイは微笑んで答えた。
「アリス様はこの王国の誇りです。心配なさらずとも、皆が支えます。リアンにもすでに準備に入るよう伝えてあります。あと――」
「ん?」
「ロザリア様からの要望で、魔導補佐官のシド殿が正式に随行されることになりました」
「……シドが?」
アリスの口元に、ほんの一瞬だけ安堵にも似た笑みが浮かんだ。
「なら、少しは楽しめるかもしれないわね」
「…既にお知り合いですか?」
「んー。まぁちょっとね。」
シドが執務室に戻ると、ロザリアとエドが神妙な顔で一通の手紙を読んでいた。
「…全く急な話だわね。」
「あの国はいつもそうです。」
ロザリアは大きな溜息を吐くとシドに視線を向けた。
「…シド。ステラード国から外賓が来るわ、2週間後よ。あいにくルイ王子が居ないからアリス様が対応なさるわ。」
「2週間後??急だな……」
「あなたも私の補佐として、王女の警護兼随行をお願いするわ。きちんと礼儀作法も学んでね?」
「……え?俺もですか。」
「ふふ、初仕事のときより顔色が悪いわね。心配しないで、立ち振る舞いの講師はちゃんとつけておくから」
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「第一王子が……2週間後に?」
ドレッサーの前で髪を整えていたアリスが、手を止めた。
「はい。ステラード王国の第一王子、アルフィ殿下が正式に王宮を訪れるとのこと。」
レイは慌てた様子でアリスに報告をした。
「兄上は、たしか視察に出る予定よね」
「ええ。ゆえに、公式の応対はアリス様が務めることになります」
アリスは静かに鏡に向き直った。そこには、王女としての威厳と不安の間で揺れる自分の顔が映っている。
「……私で、務まるかしら」
レイは微笑んで答えた。
「アリス様はこの王国の誇りです。心配なさらずとも、皆が支えます。リアンにもすでに準備に入るよう伝えてあります。あと――」
「ん?」
「ロザリア様からの要望で、魔導補佐官のシド殿が正式に随行されることになりました」
「……シドが?」
アリスの口元に、ほんの一瞬だけ安堵にも似た笑みが浮かんだ。
「なら、少しは楽しめるかもしれないわね」
「…既にお知り合いですか?」
「んー。まぁちょっとね。」



