魔法使い時々王子

「ところで、何をしているの?」

ローズは興味津々といった様子で、机の上の書類を覗き込んだ。

アリスが答えるより先に、ルーナが一歩前に出る。

「園遊会の準備でございます。アリス様が今回、運営をお任せされておりまして」

「まあ、そうなの?」

ぱっと表情を輝かせる。

「素敵じゃない!私も手伝うわ!」

間髪入れない申し出だった。

ルーナは一瞬だけ言葉を選び——やんわりと微笑む。

「それは大変ありがたいお申し出でございますが……長旅の後でお疲れではございませんか」

やんわりとした口調。

だが、その実——

“遠慮してほしい”という意図は、はっきりと滲んでいた。

しかし。

「全然大丈夫よ!」

ローズはあっさりと言い切る。

「むしろ何かしていた方が落ち着くの!」

ぐいっと身を乗り出し、机の上を指差した。

「何でも言ってちょうだい。ナプキンを配る?それともお茶を淹れて回る?」

「い、いえ……それは……」

ルーナが一瞬言葉に詰まる。

そのやり取りを見て——

アリスは思わず、くすっと笑ってしまった。

あまりにも勢いがよくて。

あまりにも遠慮がなくて。

そして——

どこか、心地よかった。

「ふふ……」

自然とこぼれた笑みに、ローズが気づく。

「何かおかしい?」

「いいえ」

アリスは小さく首を振った。