魔法使い時々王子

アリスは図書室で、エレオノーラから渡された園遊会のプログラムに目を通していた。

細かく書かれた進行、来客の名簿、配置——

目で追ってはいるものの、どこか集中しきれない。

その時、扉が開く音がした。

「……ここにいたのか」

「ええ、園遊会のプログラムを確認していたの」

リトはちらりと紙を覗き込み——

すぐに興味を失ったように視線を逸らす。

「……どうせ退屈な催しだ」

「そんなこと言わないの」

アリスは少し苦笑する。

「今年は私も手伝うことになったのよ」

「なおさら面倒だな」

リトはあっさりと言い切った。

「ローズさんって知ってる?暫く城に滞在するって。」

その瞬間——

リトの表情が、露骨に歪んだ。

「……最悪だな」

「なんで?」

アリスは思わず目を瞬かせる。

リトは小さくため息をついた。

「お騒がせお嬢様ってやつだ」

淡々と続ける。

「毎回、城に来るたびに何かしらやらかしては怒られてる」

「そ、そうなの……?」

少し引き気味のアリスに、リトは肩をすくめた。

「でも——」

ふっと、口元にわずかな笑みが浮かぶ。

「意外と、アリスとは気が合うかもな」

「え?」

思わぬ言葉に、アリスは目を丸くする。

「どういう意味?」

「そのままの意味だ」

それ以上は説明せず、リトは本棚へと歩いていった。

残されたアリスは、しばらくその場に立ち尽くす。

(……どんな人なのかしら)

気になって仕方がない。

胸の奥に、小さなざわめきが生まれる。

それは——

これまでとは少し違う、好奇心だった。