イスタリア王国の王都であるカニア。
一年前に王宮の魔法大臣が変わり、王都に住む者の生活も少し変わった。
王都の中央区以外には魔物の出没は珍しくなく、作物が荒らされて更には人にも危害を加える魔物までいた。
新しく就任した魔法大臣のロザリアは強大な魔法使いで、王都全てに魔物や他の国からの攻撃を遮断する魔法をかけている。
魔物の退治屋を生業にしていたシドにとっては頭の痛い話だった。
「…どうしたのよシド。なんか暗いわよ」
噴水に腰掛けていると、ポンと肩を叩かれた。顔を上げると友人のリアンが立っていた。
「…なんでもねーよ。」
シドは貰った依頼料を懐にしまうと、大きく伸びをした。
「ねぇ、今夜集まること覚えているわよね?」
リアンの言葉にシドは大きな欠伸をした。
「キースが帰ってくるから久しぶりに集まろうって先週話したじゃない!」
「…覚えてるよ。」
シドはそう返事すると立ち上がった。
「21時にレオンの店だからね!」
リアンの言葉にシドは手をヒラヒラ振りながらその場を後にした。



