「とりあえずわたしの部屋に向かうわ。そこでクローゼットにでも隠れていればいずれ偽の私が来るでしょう。」
アリスのシドは人に見つからないように慎重に進んでいき、どうにか部屋の前まで到着した。
「…ノックして返事がなければ中に入りましょう。」
アリスは深呼吸してドアに手を伸ばした。
「………アリス様?!」
すると、後ろから名前を呼ばれ振り返るとメイドのジェーンが立っていた。
「…ジェーン。。」
ジェーンはこのコカール城で唯一心が許せる話し相手だった。
「今さっきまで皆様とお茶をされていたはず…」
「ジェーン、説明するわ。とりあえず部屋に入りましょう。」
***
部屋に入りアリスは事の経緯を説明した。
話を聞いたジェーンは珍しそうにシドを見た。
「…そうだったんですね。。そういえばさっき別のメイドがアリス様の様子がいつもと違うって言ってました。」
「え、本当に?マズイわ、早く入れ替わらないと…」
アリスは不安そうにシドの顔を見るとシドも頷いた。
「…そうだ、この衣装を貸しましょうか?これから中庭で夕飯前のカクテルタイムです。皆様それぞれ談笑なさってますし、それにもう陽は落ちて中庭は薄暗いです。」
「ありがとう!そうするわ、急ぎましょう。」
アリスはジェーンからメイド服を借りると3人は中庭へと向かった。



